8月15日の午後12時半くらいのこと 天気がいい 病気になりそうなほど眩しい日差しの中 することもないから君と騒いでいた でもまあ夏は嫌いかな猫を撫でながら 君は不貞ぶてしくつぶやいた ああ、逃げ出した猫の後を追いかけて 飛び込んでしまったのは赤に変わった信号機 バット通ったトラックが君を引きずって泣き叫ぶ 血飛沫の色、君の香りと混ざり合って噴き返った 嘘みたいな陽炎が「嘘じゃないぞ」と笑ってる 夏の水色、かき回すような蝉の音に全て飲まれた 何度世界が狂っても陽炎が笑って奪い去る 繰り返して何十年もう特区に気がついていたろ こんなよくある話なら結末はきっとひとつだけ 繰り返した夏の日の向こう バット押しのけ飛び込んだ、瞬間トラックにぶち当たる 血飛沫の色、君の瞳と軋む体に乱反射して 文句ありげな陽炎にザマー見ろよって笑ったら 実によくある夏の日のこと そんな何かがここで終わった 目を覚ました8月14日のベッドの上 少女はただ またダメだったよと一人猫を抱きかかえてた