ただうたいたかったそれだけだった ただかなしかったそれだけだった ひびがはいってゆくむねのまんなかから おおきなくものすのように なにもかもおわってゆくよるに つめたいからだがふるえながら それでもてをあなたにのばした かすめたゆびさきからあふれたおんかさ くろいくろいかぜがこのうでをおいでゆくけれど ぬくもりはうばわれることなく このからだにしみこんだ ただむなしさのかべのむこうがわに いるあなたのそばにいきたかった からだじゅうにひろがるひびがきしみはじめる だれもきづくことなく こぼれおちてゆくかけら ひとりではきずぐちをふさぎきれずに それでもてをあなたにのばした かすめたゆびさきからかんじたあたたかさ くろいくろいほのおがこのめをやいてゆくけれど あなたのすがたはもえてゆくことなく このこころにやきついた さいごにあなたのなまえをつぶやいた とじてゆくこきゅうをききながら にじんだまぶたのうらにあなたがみえた いまむなしさのかべのむこうがわへ てをあなたにのばした つかんだゆびさきからあふれたあたたかさ くろいくろいかぜがこのうでをおいでゆくけれど ぬくもりはうばわれることなく このからだにいつまでもしみこんだまま ただてをあなたにのばした このうでがちぎれてもかんじるあたたかさ くろいくろいほのおがこのめをやいてゆくけれど あなたのすがたはもえてゆくことなく このこころにやきついた