月明かり照らされ浮かび上がる洋館
蔦が絡まる壁と、飾り窓
窓際に飾った花の中で
ひときわ赤く大きな薔薇の花が揺らめく

ここは夢の城 愛の楽園
すべて忘れておやすみなさい
飾り窓を覗く彼の頬が
薔薇色に染まって滲んでいく
見つめてしまった
思ってしまった
恋してしまった
あの人に

出会ってしまった
求めてしまった
愛してしまった
あの人を
ああ

何も知らないまま、闇夜に溶ける逢瀬
私を抱いて。お好きになさって
濡れた空気が喉にべったりと張りついて
喘ぎながら意識が遠のいてゆく

ここは夢の城 愛の楽園
指絡ませて落ちてゆきましょう
見る見る痩せ細り
枯れ果てていく自らに気づかず
夢を見る

そっと触れる肌
もっと近くに来て
甘く混ざる吐息。闇の中
そっと口づけて
もっと強く抱いて
そして息を止めて。永遠に

そっと触れる肌
もっと近くに来て
甘く混ざる吐息。闇の中
甘やかにしびれ、形を変えてく
もう戻れはしない、薔薇の宵闇