それでも人は醜くも生きようとする
それを私は、とても美しいと思う
記憶の音色は風に運ばれ、空へと舞い上がり
雨に打たれることもなく自由に舞い踊り、短い生を追いかける
めぐれめぐれ向かわれぬ(絵画でも願いでも願い叶わず
道を紡ぐ我が子よ(走れどただ走れども辿り着けずに
その物語を風に乗せ(叶えど上がれど罪は消えずに
いつか空へ奉ろう(巡れどただ巡れどもついは見えない
足跡鼓動は終わりに向かい始まる
それでも人は此方へと歩いてくる
いびつな浮世を呪い悔やめど求めて
それでも何も手にすることはできない
蹴落とされ殴られ雨に打たれ泣いて崩れ落ちて
乾く喉で叫んでも戦えなくて
奪い取られ支配され転がり落ち地を流していても
立ち上がり繰り返し求め叫ぶ
歌え歌え向かわれぬ(願えども願えども願い叶わず
道を歩む我が子よ(走れどただ走れども辿り着けずに
その物語を風に時に(登れども登れども落ちて詰めはげ
いつか天に捧げよう(戦えども戦えども言えぬ傷だけ
すべての出会いは別れに向かい始まる
それでも人は誰かの傍で生きたい
裏切られ侮辱され足蹴にされ心を壊されて
裂けるくらい叫んでも声は出なくて
生きることを否定され幾度死のうと決意していても
這い上がって繰り返し願い叫ぶ
音もなく灯火が消え、深い闇に沈み込んだ果て
そこに…冥府に咲く一つの桜がある
花びらは天の死を映してほのかに染まり、地に落ちては赤く染まる
暖かい春風に舞ういくつもの死を、あなたは綺麗だという
それがとても嬉しくて、私は…花びらの数だけ死を誘う
こんなにも美しく咲く最後なら、彼らも報われただろう
西行妖
今宵もまた、静月のもとに咲き乱れる
思い思いに抗えど、残酷な世界は等しく降りかかり、(願えども願えども願い叶わず
されど人は、今を生きるより他に道はない。(走れどただ走れども辿り着けずに
あなたも巡り、そして舞い散る。(叶えども叶えども罪は消えずに
思想輪廻、霊廊のつい。”(巡れどただ巡れどもついは見えない
咲かせ咲かせ向かわれぬ(歌えども歌えども歌は届かず
道を歩む我が子よ(手にしても手にしても壊れてしまう
その物語を抱きしめて(叶えども叶えども罪は消えずに
いつか天に届けよう(巡れどただ巡れどもついは見えない
それでも人は醜くも生きようとする
それを私は、とても美しいと思う