星をぬすむ。オリオンズをぬすむ。リゲルをぬすむ
小さいころよんだものがたりをぬすむ。エンディングをぬすむ
プロローグをぬすむ。体育館に横たわるあの子のもの思いをぬすむ
静的な初夏の涼風をぬすむ。タバコをぬすむ
煙をぬすむ。感傷のつながくような痛み以外をぬすむ
夜をぬすむ。ノタウチまわる僕の輪郭を切り落としてぬすむ
そのクーランをうめるための、よくできた嘘をぬすむ
旅人の軌跡だけをぬすむ。西日の差す部屋で聞いた雨音をぬすむ
ぬすまれた過去をぬすむ
ちぎれ雲が北へ南へ、僕は東方にくれてつったって
優しい人になりたくて、完璧な人になりたくて
あれこれ探していたけれど、そいつを届けてあげたいけれど
もう間に合いそうもない。とても間に合いそうもない
僕の影よ。僕らはずっとこのままだ