とがった言葉がいくつか壁にぶつかって転がって冷えた
ざわついたまま静かになって時間だけがすり抜けた

だれかがだれか傷つけてだからどちらも傷ついて
おそろいの気持ちで離れながらおそろいの気持ちでそばにいた

声が聞きたくてなかなか声が出せなくて
心は何度も呼んでいるのに

こわくていたくてにじめでも大事で隠して鍵かけて忘れたふりして
守ってきた本当の本当がふたり分でずっと呼び合っているのに

大人の顔をしてから生き方がちょっと雑になった
ふつうのことだし ふつうがたいへんで時間にだいたい運ばれた

とがった言葉が適確に胸をつらぬいて転がって冷えた
何もできないよ震えながら抑えつけていくのだろう

そばにいる意味を考えてなかなか辿り着けなくて
体はとっくにわかっているのに

生まれた時くらいの裸の声で動物のままで育たない声で
鏡みたいに同時に触れ

今が終われば今までに戻ってそれでもいいよ今の続きなら
守っていく本当の本当が一度でもちゃんと抱き合えた

わけられない本当の本当がふたり分でずっと