ほどけだす
じゅうにがつのあのにおい
みみのおくがひえていた
かぜにはなにかがまじってた

あきとふゆのはざまで
ひとはだれかをさがしている
それがなにか
なにをなくしたのかは
もうわからない

おちるかれはまい
かけるこがらし
きえるのは
だれのせいでもない

ここじゃないどこかに
そうかえるばしょがあってね
なつかしいなつかしいとぼくは
くちをぱくぱくさせていた

においとおもいはよくにてる
めにはみえずとも
たしかにそこにあるのだと
だれかが

あのひとがいってた

でもここには
きずもきずあともなにもない
かえりみちが
かえりかたがわからない
もうわからない

ときがうでをひっぱるから
これいじょうさきには
すすめないあのひとが
とおくとおくちいさくなっていく
おきざりにして
ぼくはゆく

さむいふゆのなみま
ひかりさしこむほし
のびていく
てんごくへのはしご

きえたともしび
すすぶこがらし
だいじだったはずのかおが
もうおもいだせない
のびきったまえがみ
すきまからのぞいたそら
てをのばしてみてももう
にどともどれない