いくつになったらしょうじょと
よばれなくなるのでしょう
かあさまわたしはもうとうに
おとなになってしまったの

はるのせっく
ひもうせんしいたへやの

だんかざりひなあそび
ひそかなささやき
しずかににんぎょうたちの
めがみおろす

にわのすみでつぼみの
もものきがきしむ
かたむくびょうぶのなかへ
ふくかぜにひとひら
まっておちるあかいかげ

じんせいはいたづらですか
えらべぬおみくじのよう
かあさまふこうなあなたと
おなじでもいいこでいます

ともすほのお
ほとけさまうかぶおかお

しろいたとうしのうえ
ちらばるくろかみ
いつでもやさしいゆびで
ゆわれていた

かじつにすくうむしの
そのおぞましさを
にくみつくそうとしても
むねだけにしまって
しょうじょのままであるために

たとえあなた
しっていて
だまっていても

だんかざりひなあそび
たおやかなびしょう
わたしはあのにんぎょうに
なりたかった

にわのすみでさかりの
あおいえだにいま
あまやかなみつももたず
かたいかにくのまま
なっておちるももひとつ