おじいちゃんは言ってた、この年になっても
人と分かり合うことは、とても難しいと
おじいちゃんはこぼした、この年になっても
人と分かれることは、とても怖いと
椅子に深く腰掛けて
遠くを眺める
目の奥で揺れる寂しさは
おじいちゃんだけのもの
でも僕にもわかるよ
少しだけなら
僕もいつかそのくらい
深く誰かを愛したい
あなたが一途におばあちゃんを愛したように
お父さんは言ってた、男の子はね
どんなことがあっても
女の子を守るのさ
それからこう続けた、お父さんがね
いない時はお前が
お母さんを守るんだと
声を上げてられず
消して理屈は並べず
静かな湖のように
姿で教えた
今僕にもわかるよ、少しだけなら
大事に思うことと
大事にすることは違うと
あなたが静かに
僕らを愛してくれたから
親子にしても
男女にしても
愛とは共に素晴らしい
記憶を残すことなのかもね
そんな記憶なんて、私にはないと
言うのであれば今から
描いてみませんか
まだ真っさらな明日に
希望の絵の具をのせて