下弦の月が今宵語りを語る
仄暗い空の下道を揺らす
影を追う花の如く舞う重びんが霞める
漂う色香漆黒の髪
涼音の言葉潤んだ瞳
さがのぼる記憶螺旋描き呼び覚ます
木漏れ日にそっと眩しさは覚えに変わる
泡沫の陽炎時を刻む
程に暗闇の歌を耳に響かせる
朱色の鞠を真紅に染めた
怨みし者を葬り去れと
一片の夢は憂い抱き微笑みかける
孤独は常に目を細め闇に誘う
語り「憎しみの果てに辿り着くは修羅
の国主に犯された大地に狂気の鬼が降り立つ
哀れみを賛える満ちた煌きが
無口な暗雲に飲み込まれてゆく
面を隠し傀儡纏い
狂った風は心を亡くす
儚く壊れた無から覗く神の欠片
全てを悟り涙には血が滲む
刹那に滅びた愛は朽ちて砕け散る
弄ばれた運命と命と共に
魂は溶けて天がける星に
下弦の月が今宵語りし語は
悲しき物語哀れな物語