Cifra Club

Thanaphobia

Tatsuya Kitani

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日常にあいた傷口
ぐずぐずにうんだそれみぐるしい
のにどうして目が離せない
いたいけな悪魔のよう
死んだ魚の目の奥に凍る
胸の中心のバニタスに問う
悲しみとは何だろう
奈落の底では知れないよ

ひらり ひらり
黒い揚羽が誘うように待って
現世と極楽が混ざって
じわり じわり
気づいていたんだ
地獄がすぐ隣で待っているって

喜べよ
君の愛した世界も
この街の誰も彼も、死に向かう人々
踊れ
その喜び体裂るまで
恐れ、嘆きながら、受け入れればいい
塞がれていた地獄の口が開く音が
泣きやんだ後に、何が残ると言うの

日常に誰かが線を引く
瞬きする間もなく幕を降ろす
赤子さえ時間がない
また太陽が沈むよ
エンドロールが終わっても号は消えない
いたずらに過ごした日々は変えらない
どんな月曜日も
愛おしいものだと思えてしまうだろう

ゆらり ゆらり
底のない凍るタールの海辺
座卓した顔のない亡霊
どろり どろり
こぼれていく
憎しみも苦しみも愛も喜びも

日常の続きの永遠の蛇足に
君は目を背けて忘れたふりをした
そこで待ち構えるニルアドミラリ
抜け落ちた何かに渇き飢えるだろう
塞がれていた地獄の口が開く音が
泣きやんだら、君はきっと泣けもしないぜ

琥珀に棲む蛆も、灰になった文明も
床板の砂漠を行くキャラバンの中

喜べよ
君の愛した世界も
この街の誰も彼も、死に向かう人々
踊れ
その喜び体裂るまで
恐れ、嘆きながら、受け入れればいい
人間の愛すべき隣人を忘れぬように
今日という日の花をつんで束ねた部家を飾って

塞がれていた地獄の口が開く音が
泣きやんだ後に、ただ青い空があった

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